2010年01月22日

旧三国街道 さ迷い道中記(15)

「徳昌寺」から東へ進み、足門の信号に出ます。
ここからは、高崎-渋川線三国街道を進むことにしましょう。

旧三国街道 さ迷い道中記(15)足門の信号から北へ250mほど行くと、「和膳 つかさ」という看板が目に入ります。

よく見ると、小さな字ですが「箕輪城下金古宿木戸前」と書かれています。

高崎宿から二里半、最初の宿場「金古宿」南の木戸があった所だそうです。

旧三国街道 さ迷い道中記(15)「これより金古宿」という看板と、最近作った感じの双体道祖神が建っています。

旧三国街道 さ迷い道中記(15)ただ、江戸末期の金古宿略図では、南の木戸染谷川より北に描かれていますので、先ほどの場所とは異なることになります。

染谷川に架かる橋から南の木戸までの間は、並木になっていたようです。
現在、マルエドラッグの所にある桜並木が、その名残のような気がするのですが、群馬町誌によれば、並木は松と杉であったと記されています。どうなのでしょうか。

旧三国街道 さ迷い道中記(15)「金古宿」が正式に宿場となったのは慶長十四年(1609)だそうですが、少し特殊な宿場だったようです。
それは、金古宿はあくまでも行政上は農村という扱いだったからです。

ですので、宿場の住人も身分は農民で、商いは「農間渡世(のうまとせい)」と言って、農業の合間にするという建前でした。

宿内の決まりごとも多く、
 ・旅人が畑を通っても咎めない
 ・飯売女(飯盛女)に派手な服装をさせない
 ・遊女には野良を歩かせてはならない
 ・農民がキセルを咥えたまま宿役人に応対してはならない

など、随分細かいことまで禁止されていたようです。
領民を治める側としては、宿場が栄えて農民が奢侈になったり、農業を疎かにしたりすると困るという面もあったのでしょう。

そもそも三国街道は、三国峠に雪が積もらない四月から十月までの間に、通行が集中します。
ところが、その時期というのは農民にとっても農繁期ですので、忙しい中での宿場の運営には苦労が多かったようです。

大名や役人は城下町である高崎を避け、金古宿を多く利用しました。
ただ、彼らはお世話が大変な上に、特別料金(もちろん安い)なので、いいお客とは言えません。
いい客である一般の旅人は、金古宿の前後にある高崎・渋川という、大きな宿場に宿泊したがったようです。
しかも、金古宿が期待する伊香保沢渡などへの湯治客は、柏木沢経由の近道を使って、金古宿をバイパスしてしまう有様でした。

下小鳥町にある「三国街道みちしるべ」は、金古宿問屋の善次郎という人が建てたと言いますが、湯治客金古宿に誘導するための戦略だったのかもしれませんね。

金古宿木戸は、明治十四年(1881)清水峠越えの三国新道が開通したのに合わせ、撤去されました。

(参考図書:「群馬町誌」「金古上宿の由来」
「群馬町の文化財」「日本歴史地名大系」)


【金古宿木戸前 和膳つかさ】

【金古宿 並木跡?】





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Posted by 迷道院高崎 at 08:12
Comments(4)三国街道
この記事へのコメント
それぞれの宿場の事情がいろいろ
あったのですね。
「ヘェ~」と「ナルホド・・・」の連続です^^。
Posted by kaze  at 2010年01月22日 09:28
>kazeさん

はい、いろいろあるんですね、内情は。
きっと文献に書かれてない内輪話は、もっともっとあったんだと思います。
タイムマシンがあれば、見に行ってみたいものですね。
Posted by 迷道院高崎迷道院高崎  at 2010年01月22日 18:30
車で何度も通る道なのですが
気づきませんでした
今度通ったらこっそり見てみます
Posted by キューピーキューピー  at 2010年01月23日 20:04
>キューピーさん

こっそりですか?
キューピーさんらしいですね(^^)
Posted by 迷道院高崎迷道院高崎  at 2010年01月23日 21:05
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