八島町の「高崎市美術館」前に、こんなブロンズ像があります。
美術にはとんと疎い迷道院が、このブロンズ像の存在を知ったのは、その作者が観音山にある「矢島八郎」像(二代目)と同じ分部順治だったからです。
もうひとつ、興味を持ったのは「碩」というタイトルです。
はじめ、何と読むのかも分かりませんでした。
辞書(角川新字源)を引くと「せき」と読むんだそうで。
意味は、「おおきい。すぐれている。りっぱな。」とあります。
うーん、何かピンときません。
別の辞書(集英社広辞典)を見てみると、「みちる。充実する。盛んな様子。」という意味もありました。
ははー、「満ちる。充実する。」かぁ、と膝を叩きました。
たしかに・・・、豊満ではあります。
ひとり納得して、ずっとそう思ってきたのですが・・・。
最近、「漢語百題」という本を読んでいたら、「凝脂」という項で「碩人」(せきじん)という文字が目に留まりました。
「肌は固まった脂のように滑らか」、まさにあのブロンズ像のようじゃありませんか。
でも、これって誉め言葉なんでしょうか。
「美人の意」とは書いてありますが・・・。
で、その出典の「碩人」の詩を見てみることにしました。
この詩は、衛の国の君主・荘公(そうこう)に嫁ぐ斉の国の姫・荘姜(そうきょう)を、衛の国の人びとが賛辞で祝したものだそうです。
加納喜光訳・藤堂明保監修「中国の古典18 詩経上」から抜粋します。
美しさを表現するのに、獣の脂身やテッポウムシに夕顔の実、蝉や蛾に例えるというのも、すごいなぁと思うのですが・・・。
ま、こんなことを知ったうえで見ると、あのブロンズ像、なかなか味わい深いと思いませんか。
美術にはとんと疎い迷道院が、このブロンズ像の存在を知ったのは、その作者が観音山にある「矢島八郎」像(二代目)と同じ分部順治だったからです。
もうひとつ、興味を持ったのは「碩」というタイトルです。
はじめ、何と読むのかも分かりませんでした。
辞書(角川新字源)を引くと「せき」と読むんだそうで。
意味は、「おおきい。すぐれている。りっぱな。」とあります。
うーん、何かピンときません。
別の辞書(集英社広辞典)を見てみると、「みちる。充実する。盛んな様子。」という意味もありました。
ははー、「満ちる。充実する。」かぁ、と膝を叩きました。
たしかに・・・、豊満ではあります。
ひとり納得して、ずっとそう思ってきたのですが・・・。
最近、「漢語百題」という本を読んでいたら、「凝脂」という項で「碩人」(せきじん)という文字が目に留まりました。
「 | 凝脂とは文字通り、凝固した脂肪の意であるが、中国では古くから白くなめらかな肌のたとえに用いられてきた。 |
『詩経』衛風の「碩人」の詩に次の句がある。 | |
手は柔荑(じゅうい)のごとく、膚(はだ)は凝脂のごとし。 | |
碩人は美人の意。その手は生えたばかりの木の芽のように柔らかく、肌は固まった脂のようになめらかだという。」 |
「肌は固まった脂のように滑らか」、まさにあのブロンズ像のようじゃありませんか。
でも、これって誉め言葉なんでしょうか。
「美人の意」とは書いてありますが・・・。
で、その出典の「碩人」の詩を見てみることにしました。
この詩は、衛の国の君主・荘公(そうこう)に嫁ぐ斉の国の姫・荘姜(そうきょう)を、衛の国の人びとが賛辞で祝したものだそうです。
加納喜光訳・藤堂明保監修「中国の古典18 詩経上」から抜粋します。
碩人其頎 | 碩人それ頎(き)たり (麗しき人はすらりと高く) |
衣錦褧衣 | 錦を衣(き)て褧衣(けいい)す (錦の晴れ着に薄いうちかけ) |
(略) | |
手如柔荑 | 手は柔荑(じゅうてい)の如く (手の柔らかさはつばなの如く) |
膚如凝脂 | 膚は凝脂(ぎょうし)の如く (肌の艶やかさは獣の脂身の如く) |
領如蝤蠐 | 領(うなじ)は蝤蠐(しゅうせい)の如く (うなじの細さはテッポウムシの如く) |
齒如瓠犀 | 歯は瓠犀(こさい)の如く (白い歯並びは夕顔の実のよう) |
螓首蛾眉 | 螓(せみ)の首(こうべ)と蛾の眉 (蝉のような額に蛾のような細い眉) |
巧笑倩兮 | 巧笑(こうしょう)倩(せん)たり (にっこり笑えば愛らしく) |
美目盼兮 | 美目盼(はん)たり (黒い瞳は涼やかだ) |
(以下省略) |
美しさを表現するのに、獣の脂身やテッポウムシに夕顔の実、蝉や蛾に例えるというのも、すごいなぁと思うのですが・・・。
ま、こんなことを知ったうえで見ると、あのブロンズ像、なかなか味わい深いと思いませんか。
【ブロンズ像「碩」】
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