茲(ここ)に暫く憩ひつつ
今来し方を見渡せば
数万(すまん)のいらか立ちならび
景色ぞいとど優りける
今来し方を見渡せば
数万(すまん)のいらか立ちならび
景色ぞいとど優りける
「茲(ここ)」というのは「観音山」でしょう。
山上、あるいは石段の楼門上から高崎市街を遠望してるんだと思います。
山上からの景色は、清水寺の売りでした。
明治四十二年(1909)発行の「上毛遊覧」という本に広告が載っています。
遡って明治二十五年(1892)には、その景色が脚気療養に良いということで、こんな広告まで出しています。
下の写真は、聖石橋からの観音道路が開通しているので、昭和七年(1932)以降のものだと思うのですが、まだまだ片岡は田畑が広がり、遠く高崎を望めばまさに「数万のいらか立ちならび」という景色です。
聖石橋が真正面に見えますので、おそらく清水寺の楼門から撮影されたものでしょう。
今は楼門最上階へは上ってくれるなと、階段にビニールテープが張られています。
ま、上ったとしても木々が大きくなってしまっていて、下界を望むことはまったく出来ないのですが。
現在の市街遠望スポットといえば、山頂駐車場でしょう。
今や片岡地区まで家々がびっしり立ち並び、「数万のいらか」は「数十万のいらか」となっています。