2009年12月28日

旧三国街道 さ迷い道中記(4)

旧三国街道 さ迷い道中記(4)

前回、石造物だらけのお宅をご紹介しましたが、そのまん前の家には、これまた凄い石造りの蔵が建っています。

旧三国街道 さ迷い道中記(4)

まさに、三国街道沿いの名主様か豪農か、はたまた豪商のお屋敷といった風情です。

旧三国街道 さ迷い道中記(4)このお屋敷に沿って東へ進むと、その角に「百度石」と刻まれた大きな石碑が建っています。

「百度石」というのは、お百度参りをする時に、社寺との間を往復する目印になるものだそうです。

旧三国街道 さ迷い道中記(4)

ここから北へ行った所に「金剛寺」がありますが、「百度石」から「山門」までは100mほどあります。
この間を往復してお百度を踏んだら、
200m×100回=20km?
うっそー \(◎o◎)/!

旧三国街道 さ迷い道中記(4)「金剛寺」の朱塗りの山門には、「修験道神變加持祈禱道場」(しゅげんどう・しんぺん・かじきとう・どうじょう)という看板が掲げられています。

心の中で「たのもー!」と言いながら山門を潜ると、「わん、わん、わん!」と応答がありました。

境内には沢山の石仏や塔があったので、見せてもらおうと思ったのですが、ワンちゃんは一向に鳴き止みません。
内心「このバカ犬が!」と思っていると、ガラッと渡り廊下の窓が開き、お寺の奥様らしい方がお顔を出しました。

多少慌てて、「こんにちは。境内を見させてください。」と取り繕うと、奥様は笑顔で「はい、どうぞ。」と仰ってくれたのでホッとしました。
鳴き続ける犬を気にして「すみません、騒がせてしまって。」と言うと、「いいんですよ。犬は鳴くもんです。」というお答えに、今度はハッとしました。

「犬は鳴くもの」
そうでした。
ワンちゃんは、一生懸命じぶんの役目を果たそうとしていただけなんですよね。
いけないのは、当然という顔をしてズカズカ入り込んだ、私の方でした。
奥様の笑顔とお言葉に、自分の傲慢さを反省させられました。
だめですねー、いくつになっても・・・。

旧三国街道 さ迷い道中記(4)山門を出る時に振り返ると、「不悪口」と大書した紙が貼ってありました。

「十の善き戒め」とも書かれていて、左側に小さくこう書かれていました。
 不殺生(ふせっしょう)
 不偸盗(ふちゅうとう)
 不邪淫(ふじゃいん)
 不妄語(ふもうご)
 不綺語(ふきご)
 不悪口(ふあっく)
 不両舌(ふりょうぜつ)
 不慳貪(ふけんどん)
 不瞋恚(ふしんに)
 不邪見(ふじゃけん)


詳しくはこちらをご覧ください→「修験道と六波羅密」(本山修験宗天王山大覚院)

旧三国街道 さ迷い道中記(4)金剛寺の奥様のお話では、ご本尊は薬師如来だそうで、昔は高崎から人力車に乗って大勢の人が病気平癒のお参りに来たといいます。

その「薬師堂」が、本堂の裏側にありました。

カシノキでしょうか、大きな、大きな木の下に、こじんまりとした、でも風格のあるお堂です。

旧三国街道 さ迷い道中記(4)お堂の中には、何体かの石仏が安置されていますが、その中に、顔の一部が崩れている薬師如来像があります。

「顔切り薬師」と呼ばれる、この薬師様には、こんな話が伝わっています。

~~~~~~~~~~~~
昔、三国街道沿いに「弘法ヶ池」という池がありました。
ある日の日暮れどき、この池でとても美しい娘が髪をとかしていました。
そこを通りかかった一人の男が、その娘を手篭めにしようと掴みかかりました。
娘は強く抵抗して逃げようとしましたが、逃がしてなるかと、男は腰の刀を抜いて娘に切りつけました。
憐れ、娘は血しぶきを上げてその場に倒れてしまいますが、その直後、男も血へどを吐いて、その場で息絶えてしまいました。

その翌日、村人が薬師堂にお参りに行ってみると、前日まで何ともなかった薬師様の顔が、切り取られたようになっていたというのです。
誰言うとなく、「弘法ヶ池」の事件は、薬師様が娘の姿になって現れ、悪い男を退治したのだと噂されるようになりました。
それからは、この村には娘を襲う悪い男は、一切出なくなったそうです。

(群馬町誌より)
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

現代、再び薬師様のお力を借りたいような事件が続いています。
薬師様に助けて頂くには、我々の信仰心も取り戻さなくてはいけないのかも知れませんね。

今日の散歩は、距離は短かったですが、中身は深いものがありました。

旧三国街道 さ迷い道中記(4)





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Posted by 迷道院高崎 at 08:11
Comments(6)三国街道
この記事へのコメント
こんなことの発見が興味をそそられます・・・        待ちました。
過去に遡り
読んでいくのは時間がかかりすぎます、これからは訪れますので
どんどん書いていってください
Posted by キューピーキューピー  at 2009年12月28日 20:56
>キューピーさん

励ましのお言葉、ありがとうございます!
暫くは、旧三国街道ネタが続きます。
私自身も、いろんな発見があって楽しんでます。
キューピーさんにも楽しんで頂けたら嬉しいです。
Posted by 迷道院高崎迷道院高崎  at 2009年12月28日 21:10
>「十善戒」、私ができていないことばかりです。

お釈迦様は王子として生まれ生身のその品行はヨロシクなかったとか・・・・・
で、仏に帰依しその反省の意を込めて遺したのが「十善戒」とか。

つまり、 迷道院高崎も僕も生身の釈迦ということです。
そして子どもたちにはエラそうに「十善戒」説く。己を顧みず(笑)。
でもそれでいいのです・・・・・
ソレでイイのです。もうすぐ仏になりますから。
なれるかな???
Posted by 昭和24歳昭和24歳  at 2009年12月29日 08:57
>昭和24歳さん

それでいいですか?
少し気が楽になりました。
ありがとうございます。

このブログの取材も、人生の冬仕舞いとして与えられた行脚のような気がしています。
目に留まる様々なものが、いろいろなことを教えてくれます。

ところで、私は仏にはなれません。
神道なので、神様になります(^^)
貧乏神も、厄病神も、神は神ですから・・・。
Posted by 迷道院高崎迷道院高崎  at 2009年12月29日 09:26
僕は都合の人生でしょうか・・・・・

その意味では神も仏もの不埒モノです(笑)。
Posted by 昭和24歳昭和24歳  at 2009年12月30日 09:28
>昭和24歳さん

「都合の人生」ですか。

人間みな、「神様や仏様の都合」で生かされているようですよ(^^)
Posted by 迷道院高崎迷道院高崎  at 2009年12月30日 19:36
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