
お茶屋さんとしての水村園さんは以前から知っていたのですが、藍染めをされる方がいらっしゃるとは知りませんでした。
かねてから、高崎の町名を活かした中心市街地活性化ということを考えていました。
せっかく紺屋町という名前の町があるのに、染物屋さんが無いのを残念に思っていたのですが、紺屋町ならぬ本町にあることを知り、嬉しく思いました。
“みずむら やよい”さんと、そんなお話が出来るといいなと思いながら、藍染め展に行ってみました。

高崎市のHPにも、国登録有形文化財「小見家住宅」として紹介されています。
普段は非公開となっていますが、この期間だけは展示室として蔵の中を見ることが出来ます。

上がり口の下には、瓦を敷き詰めた洒落た履脱ぎがありました。

ただ、作品を撮影することは勿論出来ません。
ぜひ、期間中にご自身の眼でご覧ください。
私には、染色の知識も美術的センスもないのですが、その私が見てもただの藍染めではないことが分かります。
私の知る藍染めは、藍色と白のグラデーションの素朴なデザインものですが、ここに展示されているものは、デザインの斬新さもさることながら、赤や金の色を使って塗り上げていて、まるで絵画のような藍染めです。
藍染めに造詣の深いお客様が続く中、知識の無い私は気後れし、目は自然と窓の外の古い建物に向いてしまいます。



思っていた話も出来ないまま、階下の写真を撮らせて頂いて、おいとましようかと思いました。



「想いが残る 思いが残す -上州の歴史的建造物1-」という題です。
ぱらぱらとめくってみると、高崎に残る「豊田屋旅館」「金沢米穀店」「旧・千歳屋旅館」「旧・山源漆器店」、そして「水村園」の歴史的建物が、写真入りで詳しく掲載されています。
レンガ蔵の前に腰かけさせてもらって本を見ていると、水村園の小見社長が前を通って行きました。
頃合いを見計らって、「素敵な建物ですねぇ。」と声をかけると、
「いやぁ、古いだけで。」とご謙遜です。
「柳家紫文さんから、社長さんのことをよく伺ってますよ。」と言うと、びっくりされていましたが、そこから俄かに親しみを感じて頂けたようでした。
人のつながりというのは、ありがたいものです。
いろいろお話を伺っている内に、先ほどの本を発行した「上州歴史的建造物所有者の会」の代表者は、何と!やよいさんだというのです。
本の巻頭には、代表であるやよいさんの、こんな言葉が載っていました。
「長年の風雪に耐えた建物が、朽ちて雨ざらしとなり、やがて青いビニールシートがかぶせられ、ショベルカーの轟音と共に一瞬の間に取り壊されていく場面に出会ったことはありませんか。
更地になってしばらくすると新しい建物が建ち、もとの古い建物は人々の脳裏からも消えてゆきます。
そして、画一的で面白見のない町並みに変わっていくことにだれも疑問を感じないまま、今まで長い間をかけて受け継がれ、築き上げられてきた地域独特の歴史を有する大切なものを、いつのまにか失ってきているのです。
(略)
歴史ある建物や、それを支える伝統的技術は、町づくりのための魅力的な資産として、地域社会に寄与し、地域の歴史、文化を継承してゆく大切な宝として考えられるのではないでしょうか。」
しかし同時に、「所有者が、実際に歴史的建造物を維持管理してゆくことの難しさもある」といいます。
そこで、「まずは同じ悩みを持つ所有者が集まって、交流を深め語り合う場として、平成十五年(2003)に設立したのが・・・所有者の会」なのだそうです。
まさに私が、いや私如きが、このブログで訴えてきたことを、実際に行動に移している会があることに、正直驚きました。
いろんな方とのつながりを経て、ついに到着すべき所に辿り着いたという気持ちです。
この会は、「歴史的建造物所有者の会」とはいうものの、所有していない人も会員になれて、いろいろなイベントや勉強会に参加できるのだそうです。
一見(いちげん)さんの私でも参加できるものなのかお聞きすると、検討して後ほどご連絡を頂けるとのことでした。
そんなことで、思いがけず長居をしてしまいました。
ブログの記事も大分長くなってしまいましたが、
「藍染め展」は、6月15日(火)までです。
みなさん、お見逃しないように、お出かけ下さい!
◇「みずむらやよい工房」HP
【水村園】