2011年10月01日

忘れられた高崎の大震災(2)

「西埼玉地震」における高崎の被害状況を、当時の新聞記事で見てみましょう。

忘れられた高崎の大震災(2)忘れられた高崎の大震災(2)

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忘れられた高崎の大震災(2)
忘れられた高崎の大震災(2)

いやー、大変な被害と騒動になっていたことが分かります。
これほどの被害をもたらした大地震が、なぜ高崎市民にあまり知られていないのでしょう。

その理由はいくつか考えられるのですが、ひとつには、「関東大震災」のような大火が発生しなかったこと、それによる多数の犠牲者が出ずに済んだということがあるかもしれません。

新聞記事によると、
新喜町相澤製糸場並に南町かうぢ(麹)製造業砂林芳之助方から地震発生と共に發火消止む」
常磐町☐☐五郎妻たけ(32)は油揚の鍋を運び出さんとして火傷」
と、まさに危機一髪でした。
地震発生時刻が「関東大震災」とほぼ同じ昼食直前であったにも拘らず、また、歴史的にも大火の多い高崎という町であったにも拘らず、大火災が発生しなかったことは幸運という他ありません。

また、この年は大きな災害が立て続けに起きた年でもありますので、その陰に隠れてしまったということもあるかもしれません。
6月12日には、倉賀野上正六で大きな竜巻が発生し、住家12戸が空中高く捲き上げられ、死者2名重軽傷者10数名を出しています。

忘れられた高崎の大震災(2)昭和二年(1927)頃から活動が活発になっていた浅間山も、毎年のように爆発を繰り返し、昭和五年(1930)には死者6人、「西埼玉地震」のあった昭和六年(1931)にも死者3人を出す大爆発を起こしています。
そして、天災ばかりではありません。
「西埼玉地震」の起こる4日前には、満州事変の発端となる柳条湖事件が起きています。
地震発生当日は、朝鮮に駐留していた大日本帝国陸軍の、いわゆる朝鮮軍が独断で中国国境を越えて派兵するという出来事があり、国内も騒然となってきていました。

「西埼玉地震」から3日もすると、地震の新聞記事はすーっと姿を消し、満州事変の記事が大きく取り上げられるようになってきています。
「関東大震災」のような帝都を襲った大地震ならともかく、地方を襲った地震など取り上げている場合ではなかったのかも知れません。
そして日本は、長い戦争の時代に入っていくことになります。
案外この辺が、「西埼玉地震」が忘れられていった原因なのではないかと思うのですが、さて・・・。

前回のブログ記事を読まれた何人かの方が、当時を知る年代の方に「西埼玉地震」のことをお尋ねになったそうです。
すると、「関東大震災」より大きい地震があったことを、みなさんご記憶だったと仰います。
中には、自分の家の蔵や煙突が「関東大震災」で壊れたと聞いていたが、本当は「西埼玉地震」だったと分かった、という方もいらっしゃいました。

県立歴史博物館の手島仁先生が、今、「西埼玉地震」の研究をされていますので、情報をお持ちの方はぜひ手島先生までご連絡をして頂ければと思います。

さて、次回は、「西埼玉地震」の震源になったといわれる、埼玉から高崎直下にまで延びる「活断層」についてお話ししたいと思います。






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Posted by 迷道院高崎 at 07:37
Comments(2)◆高崎雑感
この記事へのコメント
新聞記事に「安中町も損害多大」とありますね。
地元の方から、浅間山の噴火で灰の被害があったという話はよく聞きますが、この地震については知らない人が多く、驚きです。
竜巻の件も知りませんでしたが、知らせていただいたことで、心構えもできるということで…有難いです。
Posted by 風子  at 2011年10月03日 09:14
>風子さん

忘れた頃にやって来るという天災ですから、思い出すためのイベントも必要だと思います。

不安におびえるよりも、こうなった時はこうしようという心構えですね。
まだまだ自分自身、不足してると思いますが。
Posted by 迷道院高崎迷道院高崎  at 2011年10月03日 18:43
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    コメント(2)