2009年08月16日

七曲りの小豆とぎ

七曲りの小豆とぎ
柴崎町進雄神社前の道を東に進むと、パチンコ店の駐車場の角に「庚申塔」「双体道祖神」とともに、一本の「道標(みちしるべ)」が建っています。
やや風化して読み難くなっていますが、
  東 岩鼻村及玉村町通路
  西 上中居ヲ経テ高崎至ル
  北 下大類ヲ経テ前橋市ニ至ル
  南 矢中ヲ経テ倉賀野ニ至ル

と刻まれています。

この辻から南北に通る道は、今でこそ狭い路地のような道ですが、昔は倉賀野河岸で揚げた荷を、京目を通って前橋まで運ぶ重要な道だったそうです。

七曲りの小豆とぎここから倉賀野へ至る昔の道は、セキチューアピタの進出で、そのまま辿ることはできませんが、アピタと駐車場の間の道を右に回り込んで、大沢家墓地前の道を左へ曲がると、そこが「矢中の七曲り」と呼ばれた昔の道です。

七曲りの小豆とぎこの水路に架かっている橋には、「小豆とぎ婆」が出るという言い伝えがありました。

昔の「七曲り」は、欅や樫の木の大木が生い茂り、竹藪にも覆われた昼なお暗い道だったといいます。

ましてや夜は、鼻を抓まれても分からない真の闇。
そんな夜にこの橋を渡ろうとすると、橋の下から、
ショキ、ショキ、ショキ、ショキ・・・という音が聞こえ、
「小豆とぎやしょか 人取って喰いやしょか」
という、しわがれ声が聞こえてくるのだそうです。

「小豆とぎ婆」の話は、他の各地にも伝わっていますが、いずれも川や橋のそばに出るようです。
水路の水音を、人間の怖いという思いがそう聞かせたものかも知れません。
あるいは、「暗い夜道に橋を渡って足でも踏み外したら大変だから、近づくんじゃないよ。」という古老の戒め話なのかも知れません。
現代では「小豆とぎ婆」は姿を消し、代わりに「ひったくり」「チカン」が出るようです。

七曲りの小豆とぎ石橋を渡ると、こんな素敵な蔵が建っていました。→


七曲りの小豆とぎ



←蔵を通り過ぎて角を曲がり、もうひとつ角を曲がってから振り返ると、これまた素晴らしいお屋敷の建物が目に入ります。

七曲りの小豆とぎ「小豆とぎ婆」の石橋から数えて5つ目の角を曲がると、長い直線の小道に入ります。→

七曲りの小豆とぎ



←少し行った右側に、「御嶽山大神」と刻まれた石碑が、小高い塚の上に建っています。

なぜここに「御嶽山大神」が祀られているかは分かりませんが、高崎周辺では明治の中頃に御嶽教が大流行したようで、街なかの九蔵町には、その名も「御嶽山神社」というのが現存します。

この道を進んで大通りを右に曲がると、以前ご紹介した「ゴロゴロ山」があります。

倉賀野までは、まだまだ道のりがありますので、あとは明治十八年(1885)の地図を見て頂くことに致しましょう。
七曲りの小豆とぎ


【柴崎の道しるべ】
七曲りの小豆とぎ

【小豆とぎ婆の出る橋】
七曲りの小豆とぎ

【御嶽山大神】
七曲りの小豆とぎ

【ゴロゴロ山】
七曲りの小豆とぎ


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Posted by 迷道院高崎 at 08:23
Comments(8)◆高崎探訪
この記事へのコメント
そうですか駅前銭湯のお隣で産湯を・・・・

しかし僅か4、50年で横丁の歴史はすべて消されてしまいましたね。
僕の育った横丁には今はもうほとんその名残はありません。
この先どう変わっていくんでしょうかこの街は・・・・・
Posted by 昭和24歳昭和24歳  at 2009年08月17日 17:44
>昭和24歳さん

高崎の横丁文化、価値があると思うんですがねー。
何とか、活かしていきたいものですね。
若者に期待しましょう!

その前に、横丁文化を残せなかった我々世代が、懺悔しなくちゃいけないかも知れませんが・・・。
Posted by 迷道院高崎迷道院高崎  at 2009年08月17日 19:04
残暑お見舞い申し上げます。

今度、Jrとお手合わせお願いしたいと思っておるのですが・・・・・

で、人間嫌いの迷道院高崎さんですけど、今度某所、いつかJrをお誘いした“いろり”で8月25日PM7:00より一献傾けたく候で、グンブロ仲間のmitukuniさんをお誘いしております。
まあ、よろしければということでご案内まで。
Posted by 昭和24歳昭和24歳  at 2009年08月18日 15:44
>昭和24歳さん

日中はまだまだ暑いですが、朝晩は秋を感じさせるようになってきましたね。

とは言え”いろり”はちょっと熱そうですね。
お誘いありがとうございます。
なにせ自称・人間嫌いゆえ、当日まで説得を続けてみますので、少しお時間をください。
Posted by 迷道院高崎迷道院高崎  at 2009年08月19日 08:20
高崎漫歩を読んで興味をもち、「七曲がり」を、つい先日探しに行ったところです。
この写真の風景でした。
帰り小さな天満宮から道路に出たところで、
帰路と反対方向に行ってしまいました。
ここまで方向音痴かとショゲてましたが、
今思えば、小豆婆さんにツママレたのかも。

ところで「いろり」に部外初心者は参加....できない・・・ですよね。
Posted by AO  at 2009年08月20日 09:25
AOさん

構いませんよ、歓迎です。
というか、フラットお出かけください。
御都合さえよろしければ・・・・・

迷道院高崎さん、場所をお借りしてすみません。
Posted by 昭和24歳昭和24歳  at 2009年08月20日 17:54
>AOさん

ご返事が遅くなり、昭和24歳さんにはフォローして頂きまして、申し訳なく有り難く、なんともはや・・・。

私も実は方向音痴で、そのおかげで思わぬ発見をしたりします。
AOさんは、小豆とぎ婆さんにも会えたなんてすごいじゃないですか。

で、「いろり」の場所はお分かりですか?
もし分からないようであれば、昭和24歳さんのブログの、「オーナーへメッセージ」からお問い合わせください。
Posted by 迷道院高崎迷道院高崎  at 2009年08月20日 19:54
>昭和24歳さん

AOさんへのご返事、ありがとうございました。
来て頂けるといいですね。
Posted by 迷道院高崎迷道院高崎  at 2009年08月20日 20:35
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