2016年03月06日

駅から遠足 観音山(66)

長らく「カッパピア」跡地に整備中だった公園が、三月下旬にようやく部分開園となるようです。
駅から遠足 観音山(66)

「カッパピア」は平成十五年(2003)に閉園となりましたから、いまの小学生のほとんどは記憶にないのでしょう。

(「観音山のむかしと今」1990高崎市教育委員会制作より)

「カッパピア」の前の「高崎観音山遊園地」となると、お父さんお母さんでもご存知ない、おじいちゃんおばあちゃんの世代がかろうじて記憶にある程度でしょう。
駅から遠足 観音山(66)

ましてや、この場所が白衣大観音建立後に大伽藍を建設する予定地だったと知る人は、さらに少なくなるかも知れません。

「高崎白衣観音のしおり」の中で、著者・横田忠一郎氏がこう述べています。
井上翁は、大観音が完成すると、今度は外苑と大遊園地を造るべく一万五千坪の土地を買収した。現在のカッパピアのあたりになる。
ここに数千株の桜、桃、楓、つつじ、蘇鉄などを移植して井上公園の造成に着手した。
ゆくゆくは、外苑に一大伽藍を建立する構想を持っていた。
この偉大なる計画も翁の他界により、工事半ばにして中止となったことは、返す返すも残念なことで、高崎市の発展にも大きな損失であった。(略)
翁は、大観音が完成すると、プロデューサーの黒川明玉氏に三重の塔を建設すべく、計画と見積を依頼している。
もちろん天が翁に余命を与えたならば、荘厳なものを遺したことであろう。」

井上保三郎は、自らの天命を知ってか知らずか、亡くなるその年に白衣大観音と寺院建物及びその敷地、二年間の賽銭と胎内拝観料、そして大伽藍建設予定地一万五千坪を、すべて高崎市に寄付しています。

その一万五千坪の土地が活かされることになったのは、それから14年後の昭和二十七年(1952)でありました。
この年、高崎線の全面電化を機に、観光都市高崎を大宣伝するために開催された、「新日本高崎こども博覧会」の会場となったのです。

駅から遠足 観音山(66)
このイラストマップを描いたのが、あの水原徳言さんだっていうのもすごいですよね。

会場は観音山公園一帯、会期は四月一日から五月二十日までの五十日間、予算四千万円、高崎駅から会場まで20か所に広告塔を建てるという力の入れようです。
博覧会の名称についても、市議会で侃々諤々の議論が行われています。
松浦福三郎:
(議長)
「新日本高崎子ども博覧会」の名称については如何ですか。
関口一吉: 「高崎こども博覧会」は小さく感じられる。主催者も三者(県、県教委、高崎市)であるから「群馬子供博覧会」にしたらどうか。
松浦福三郎: 「高崎」が抜けると何処で開催されるのか分からなくなり、具合が悪いのではないか。
片野一雄: 新潟博覧会というのを長岡でやった為、九州辺りの遠くの人は新潟市へ行った者もあるとの話もあり、やはり「高崎」は取れないと思う。
小池千代: 「新日本大高崎こども博覧会」はどうか。
黛三衛: 新日本の「新」は変だ。
坂東由太郎: 新日本の「新」はどんな意味があるか。
松浦福三郎: 講和(サンフランシスコ講和条約)で生まれ変わったという意味である。
飯塚栄山: 忙しい問題だから「新日本高崎子ども博覧会」でいいではないか。
高橋操: このまま決定してよいと思う。
須藤力一: 「群馬県高崎こども博覧会」にしたらどうか。
松浦福三郎: 「高崎こども博覧会」の名称の下に群馬県の文字が主催者として入るからよいのではないか。
一応これに決めてもらい・・・。
(昭和26年9月26日高崎市議会全員協議会会議録より)

さらに、この「こども博覧会」を機に、市民から歌詞を募集してつくられたのが「高崎音頭」です。

こうして、「新日本高崎こども博覧会」という大イベントが開催された訳ですが、その様子と結果については、次回お話するといたしましょう。





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