「山ノ上古墳」の麓の集落が古の「山本宿」であり、そこから「山の上の辻」を通る道が「鎌倉街道」だというのは、異論のないところのようです。
「山の上の辻」までは、寺尾、根小屋、山名の丘陵を通る幾つかのルートがあったと言われていますが、わざわざきつい思いをして山越えをしなくとも、丘陵に沿って山裾を巻くルートも当然あったのではないかというのが、私の当て推量です。
山名八幡宮から山裾に沿って1kmほど歩くと、「山の上の辻」から下りてくる道と交差します。

鏑川方面に行くにはここを左折しますが、ちょっと寄り道をしたくなったので、右折して「山の上の辻」の方へ行ってみることにしました。
150mほど坂を上ると、「山ノ上天水」というおとぎ話に出てくるような名前の公民館があります。
「山ノ上」も「天水」も近くの集落の字名ですが、「天水」とは雨水のことです。
昔から水の便が悪く、生活も農業も天からの水に頼るしかない土地だったようです。
眼下に広がる田圃は「天水田圃」と呼ばれ、米を作るには困難な土地でした。
明治三十年(1897)切実な水利問題を解消しようと、五三山(ごさんやま)にトンネルを掘り抜き、「山ノ上」地区を流れる柳沢川の水を「天水」地区の貯水池まで導水するという、大工事を成し遂げました。
当時は土木機械も精密測量機器もない時代、手工具だけで長さ223mのトンネルを素掘りしたのです。
先人の知恵と技術、努力の偉大さには本当に驚きます。
が、そこはやはり素掘りのトンネル。
長い年月に崩落や陥没を繰り返し、危険な状態になってきたということで、平成二年(1990)「山ノ上貯水池」の大改修に併せて、トンネルの改修が行われました。
素掘りだったトンネルと水路はコンクリートで補修され、「山名隧道」と名付けられました。
トンネル出口は個人のお宅の裏にありますが、ご厚意でお庭に入って見させて頂くことができました。
「せっかく来たんだから、トンネルの反対側も見てきたら?」と言われ、行ってみることにしました。
さらに250mほど坂を上ると、「山の上の辻」に出ます。
ここから真っ直ぐ坂を下ると、「山ノ上集落」です。

「集落に入って坂を上りきった辺りだよ。」と教わったのですが、民家へ入る道しかありません。
近くで草刈りをしている方にお尋ねすると、「ここん家の裏なんだよ。」と、ずんずん先に立って案内してくださいました。
この辺だけ、柳沢川がぐるっと山側に迂回していて、そこに水門が設置されています。
正面の穴が「山名隧道」の取水口で、田植えの時期になると左の水門を閉めて、隧道の方に水を流すのだそうです。
「いつもなら、はぁ、水ぅ通してんだけどなぁ。」と、仰ってました。
今年は麦の成長が遅く、刈取りが遅れているのだとか。
水が通ったら、また見に来てみたいなぁと思いました。
「山の上の辻」までは、寺尾、根小屋、山名の丘陵を通る幾つかのルートがあったと言われていますが、わざわざきつい思いをして山越えをしなくとも、丘陵に沿って山裾を巻くルートも当然あったのではないかというのが、私の当て推量です。


鏑川方面に行くにはここを左折しますが、ちょっと寄り道をしたくなったので、右折して「山の上の辻」の方へ行ってみることにしました。

「山ノ上」も「天水」も近くの集落の字名ですが、「天水」とは雨水のことです。

眼下に広がる田圃は「天水田圃」と呼ばれ、米を作るには困難な土地でした。
明治三十年(1897)切実な水利問題を解消しようと、五三山(ごさんやま)にトンネルを掘り抜き、「山ノ上」地区を流れる柳沢川の水を「天水」地区の貯水池まで導水するという、大工事を成し遂げました。
当時は土木機械も精密測量機器もない時代、手工具だけで長さ223mのトンネルを素掘りしたのです。
先人の知恵と技術、努力の偉大さには本当に驚きます。

長い年月に崩落や陥没を繰り返し、危険な状態になってきたということで、平成二年(1990)「山ノ上貯水池」の大改修に併せて、トンネルの改修が行われました。

トンネル出口は個人のお宅の裏にありますが、ご厚意でお庭に入って見させて頂くことができました。
「せっかく来たんだから、トンネルの反対側も見てきたら?」と言われ、行ってみることにしました。

ここから真っ直ぐ坂を下ると、「山ノ上集落」です。

「集落に入って坂を上りきった辺りだよ。」と教わったのですが、民家へ入る道しかありません。
近くで草刈りをしている方にお尋ねすると、「ここん家の裏なんだよ。」と、ずんずん先に立って案内してくださいました。

正面の穴が「山名隧道」の取水口で、田植えの時期になると左の水門を閉めて、隧道の方に水を流すのだそうです。
「いつもなら、はぁ、水ぅ通してんだけどなぁ。」と、仰ってました。
今年は麦の成長が遅く、刈取りが遅れているのだとか。
水が通ったら、また見に来てみたいなぁと思いました。
【山名隧道】