2010年01月20日

旧三国街道 さ迷い道中記(14)

足門「徳昌寺」の正式名称は、「天王山薬師院 徳昌寺」と言います。

「徳昌寺」に残る慶安二年(1649)の御朱印状によると、
「上野國群馬郡足門村薬師堂領同村之内八石余
 牛頭天王領三石壱斗余
 合(計)拾壱石壱斗・・・」
を任せるとあります。

この中にある、「薬師」「天王」を冠して「天王山薬師院 徳昌寺」としたものと思われます。

旧三国街道 さ迷い道中記(14)その「薬師」にまつわるお堂が、「徳昌寺」の境内にあります。

このお堂は、「聖天堂(しょうでんどう)」と呼ばれていますが、実はその昔、薬師堂として近くの薬師塚上にあったものを、昭和六年(1931)に移築したものだそうです。

この「薬師塚」こそ、1月13日の記事に書いた、あの「薬師塚」のことです。

では、お堂が無くなってしまった「薬師塚」は、その後どうなったのでしょうか。

実は、「薬師塚」の近くにも大きな塚があり、その上にはかつてお稲荷様が祀られていたそうです。
そのお稲荷様は、明治四十二年(1909)に近くの八坂神社に合祀されて、お社が空き家になっていました。

そこで、空き家になっていたお稲荷様のお社を、空き地になった「薬師塚」に移して、「薬師堂」としてリニューアルオープンしたという訳です。

しかし、このお社はもともと古いものだったため、たちまち荒廃してしまったといいます。
旧三国街道 さ迷い道中記(14)それを多額の浄財を寄進して修復したのが、1月13日の記事でご紹介した、中沢昇翁だったのです。

右の写真が、中沢昇翁が寄進したという「薬師堂」の姿です。

さて、「徳昌寺」に移築された「薬師堂」改め「聖天堂」の話に戻りましょう。
「聖天堂」には、その名前の由来となった「大聖歓喜天自在像」(通称:聖天様)が安置されています。

この「聖天様」は、もともと高崎城下にあった「時の鐘」のお寺、「石上寺」の宝物でした。
「徳昌寺」「石上寺」の末寺でもあったため、廃藩置県により廃寺となった「石上寺」の形見として、「聖天様」を贈与されたのだそうです。

ただ、「聖天様」は秘仏で、実物を見た人は、ほとんどいないと言います。
年に一回、住職が身を清め、秘仏を油で炒りながら読経し祭典を行うのみで、一切御開帳はされません。
一般の人がうっかりお姿を見ると、目が潰れると言われています。

旧三国街道 さ迷い道中記(14)ところが、この「聖天様」の写真は、なぜか公開されているのです。

ご覧になりますか?

目が潰れてでも見たいという人は、左の画像をクリックしてみて下さい。

なお、生じた結果について、当方は一切責任を負いませんので、お断りしておきます(^u^)

旧三国街道 さ迷い道中記(14)一方、山号である「天王」とは、「徳昌寺」から北へ300mほど行った所にある、「八坂神社」のことです。

「八坂神」「牛頭天王(ごずてんのう)」ともいい、「スサノオノミコト」でもあります。

ここもそうですが、それらの神様を祀った神社を、「天王さま」と呼ぶ地域が多いようです。

思えば、「追分の八坂大神」からスタートした、「旧三国街道 さ迷い道中記」でしたが、足門まで来て「八坂神社」に辿り着くとは、何とも不思議な気がします。

しかし、ここがゴールではありません。
まだまだ続きますので、よろしくお付き合いくださいますように。

【徳昌寺】

【薬師塚】

【八坂神社】





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Posted by 迷道院高崎 at 08:45
Comments(4)三国街道
この記事へのコメント
徳昌寺から薬師塚に話が回ったので、あれ、これでゴールになっちゃうのかと一瞬心配しました。
ホッ!
聖天様(クリック!)。
目は潰れませんでした(笑)。

過日の三ツ寺の石上寺で、二股大根のぶっ違いが刻まれている手水の水盤を見ました。
御本尊の聖天様はいまは徳昌寺にあるのですね。なるほど。

いや~~面白いです。
まだまだ さ迷ってください。


迷ってなんぼ、「人は努めている間は迷うものだ」とゲーテ言い。

迷道院隠士の彷徨にますます期待!
   夢寅 拝
Posted by 夢寅  at 2010年01月20日 17:19
ところで、
1月30日(土)は第5回「いろりの日」です。
ご都合よろしければぜひお運びください。

ところで、1月24日(日)の柳家紫文師匠のライブですけど如何されます?
ぼくはチケット買っちゃいましたけど・・・・
迷道院さんも買っちゃいました?
売れ行きがボチボチだそうです。
Posted by 昭和24歳昭和24歳  at 2010年01月20日 19:47
>夢寅さん

はい、ゴールはもう少し先になります。

「聖天様」、結構ありがたいお姿でしたでしょ?

さ迷いながら、ありがたい神仏や生き仏様に出逢っている内に、少しづつ心の迷いが解けていくような気がします。
Posted by 迷道院高崎迷道院高崎  at 2010年01月20日 20:41
>昭和24歳さん

私のような者へのお誘い、いつもかたじけなく思っています。
捨蚕さんや、藝術の先生もお見えになるのでしょうか?
よろしくお伝え願います。

紫文師匠のライブの日も、ちょいと用事が重なりまして伺えませんが、師匠にくれぐれもよろしくお伝えください。
あ、東京ガールズの皆さんには、特によろしくお伝えください!
Posted by 迷道院高崎迷道院高崎  at 2010年01月20日 20:54
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