2010年01月06日

旧三国街道 さ迷い道中記(8)

「三ツ寺堤」の西側には、一里塚のように小高くなっている所があり、いくつもの庚申塔が建っています。

広大な圃場のおかげで、遠く榛名の山並みまで見通すことができます。
かつて旧三国街道を行き来した旅人達が、同じ風景を眺めていたかと思うと、感慨深いものがあります。

庚申塔の中に、一番大きくて面白い形をしたものがあります。

面白いのは、形だけではありません。

中央の三文字、いったい何と書いてあるのでしょう?

どうにも分からず、近くの「かみつけの里博物館」へ行ってみました。
あいにく館長さんがお留守で、古代専門の職員さんしかいらっしゃらず、謎は解けませんでした。

ふと思いついて、その足で前橋県立文書館へ行ってみました。
閉館ぎりぎりに飛び込んで、写真を見てもらったのですが、やはり分からないようでした。
でも、さすが普段古文書を扱っている職員さんです。
「庚申塔」をキーワードにして、それらしい言葉を探し出してくれました。
それが、「青面王(しょうめんおう)」です。

「庚申塔」には「庚申」と刻まれているものが多い中、「青面金剛(しょうめんこんごう)」と刻まれているものも少なくありません。
「青面金剛」は、もともと疫病を流行らす恐ろしい神様ですが、民間の庚申信仰においては、「三尸の虫(さんしのむし)」を抑える神として祀られています。
これも、「は裏と表」の類ですね。

ともあれ、「青面金剛」は浅学な私でも知っていたのですが、「青面王」というのは、恥ずかしながら初めて聞きました。

ただ、それにしても不思議なのは、「青面王」という文字は、篆書体ではこのようになるはずです。 →


「面」「王」はいいでしょうが、
「青」の字の両側の波線は余分でしょう。→

しかし、これには心当たりがありました。
実は、新保田中道祖神で、同じようなのを見たことがあるんです。

「道」の本字を、篆書体にすると、
←こうなります。
これを、新保田中道祖神では、
←こんな風に刻んであるのです。

ちょっと、ブログに掲載していいのかどうか躊躇しますが、女性の象徴を模しているのだそうです。
どうですか、庚申塔「青」の字と似ているでしょう?

「道祖神」には、このように男女の象徴を模したものが少なくありません。
以前「おちゃめ!」の記事でご紹介したのも、そうでした。

これには、諸説様々ありますが、道の分去りの「二股」から連想したとか、男女の営み子孫繁栄・五穀豊穣につながるとか・・・。

そこで、三ツ寺庚申塔「青」の話に戻りますが、両側の波線は、おそらく女性のボディラインを表しています。
そして、その中にある「青」の字は、女性の象徴を模しているのだと思います。

昔の人は何事も、良い方に、良い方に考えたのですね。
きっと、厳しく辛い暮らしの中から編み出された、とする知恵だったのでしょう。
見習いたいものです。

【三ツ寺堤の庚申塔】





同じカテゴリー(三国街道)の記事画像
番外 高崎の孝女みえ
三国街道 めぐり会い
三国街道史跡めぐり(小鳥・大八木)
号外!「企画展 三国街道と宿場」
三国街道 帰り道(最終回)
三国街道 帰り道(18)
同じカテゴリー(三国街道)の記事
 番外 高崎の孝女みえ (2017-05-24 12:21)
 三国街道 めぐり会い (2010-07-16 06:51)
 三国街道史跡めぐり(小鳥・大八木) (2010-06-14 10:47)
 号外!「企画展 三国街道と宿場」 (2010-06-06 06:54)
 三国街道 帰り道(最終回) (2010-04-09 07:38)
 三国街道 帰り道(18) (2010-04-07 07:34)

Posted by 迷道院高崎 at 07:45
Comments(4)三国街道
この記事へのコメント
ふ~ん、、、おもしろい・・・

わからないことは、
博物館や文書館の職員さんに聞くという方法があるのですね。ナルホド・・・そこまで考えが及ばなかったです^^。
Posted by kaze  at 2010年01月06日 10:50
>kazeさん

やはり、餅は餅屋というか、専門に研究している方は凄いです。
素人の私には、本当にありがたい存在です。
これからもお世話になることが多いと思います(^^)
Posted by 迷道院高崎迷道院高崎  at 2010年01月06日 19:25
今年もますます筆が(キーボード?)勢い良く走ってますね。
昔のヒトたちにとって庚申塔に刻む書は講中の筆達者の永久的な展示会みたいなもので、書体も凝りに凝りまくったものが多いですね。
有名な書家に依頼したものもあったようですし、書体だけではなく、塔の意匠も機知に富んだもの多し。考えてみれば庶民レベルでこれだけ目一杯知的に遊んでしまえるというのは、近世-近代の文化のレベルは相当高かったということではないでしょうか。三ツ寺は当方からもそんなに遠くないので(自転車で行ければ一番いいのですが・・・寒い!)、青面王の塔は一度出かけて自分の目で見てみたいな、と考えています。迷道院隠士の眼力と行動力には、いつもいつも驚かされますし、刺激されます。

これからも知的なマジカルミステリーツァーにお導きください。夢寅 敬白。
Posted by 夢寅  at 2010年01月08日 10:20
>夢寅さん

過分なお言葉、身の縮まる思いです。

この時期の取材は、完全武装です。
毛糸の帽子にマスク、ネックウォーマーに防寒手袋、眼鏡も掛けてますので、うっかりコンビニでも入ろうものなら、警戒されます。
それにもめげずに、しっかりトイレをお借りしてますが・・・。
Posted by 迷道院高崎迷道院高崎  at 2010年01月08日 19:50
上の画像に書かれている文字を入力して下さい
 
<ご注意>
書き込まれた内容は公開され、ブログの持ち主だけが削除できます。

削除
旧三国街道 さ迷い道中記(8)
    コメント(4)