2017年11月12日

史跡看板散歩-68 綿貫町青面金剛像

「群馬の森」前の道を北へ向かい、新国道354と交差する200mほど手前に、数基の石造物が並んでいます。


その中のひとつが、今回の「青面(しょうめん)金剛像」です。



「青面金剛」という仏さま、何で青いお顔なんでしょう。
大畠洋一氏の「青面金剛研究」というサイトを見ると、こう書いてあります。

青面金剛はもと流行病を流行らせる悪鬼であったが、のち改心して病魔を駆逐する善神になったという。

これは「渓嵐拾葉集」という鎌倉時代に日本でまとめられた本に書いてある仏教説話であり、こういう説明が日本人には一番分かりやすかったものと思われる。

この姿は日本人の感覚からは、どう見ても病を流行らす悪鬼の時代の姿であり、全身に蛇を巻き付け、病の犠牲になった人のどくろを勲章のように誇らしげに腰の回りに飾っている不気味な死神の姿に見える。


鬼退治の物語には赤鬼青鬼が出てくるが、日本では赤鬼は火事などの災害、青鬼は病気の象徴であった。
日本では青鬼は蒼白い病魔を連想するが、インドの絵画の約束ごとでは、青色の像は「怒り」を表すことになっている。
「真っ赤になって怒る」のはまだ序の口で、「青くなって怒る」のが本当の怒りである。

う~ん、かも知れない・・・。

悪鬼としての「青面金剛」が流行らせた病というのが、「伝尸病」(でんしびょう)と言って、いわゆる「結核病」だそうです。
「尸」というのは漢字の部首としては「しかばね」という名前ですので、「伝尸病」「死に至る伝染病」ということなのでしょう。

そんな怖い病気をはやらせる「青面金剛」が改心して、その病を駆逐する仏さまに変わったというんです。

窪徳忠氏は、その著書「庚申信仰の研究(上)」の中で、「修験道にも密教にも、降魔治病の一法、とくに伝尸病をのぞく方法として青面金剛法とよぶ行法がある。」と述べ、そのいくつかを挙げています。

「大青面金剛法」
(三宝院流洞泉相承口訣)
此法治類病妙薬也。類病者労咳事也
(この法は、類病を治す妙薬なり。類病は労咳(伝尸病)のことなり。)
「青面金剛法」
(京都妙法院蔵本)
為伝屍病祈禱行之
(伝尸病の為に祈禱これを行う)
(口語文は迷道院のテキトー訳です。)

ということですが、それが「庚申信仰」とどう結びつくのかということになると、諸説紛々で、いまひとつよく分かりません。
「伝尸病」「三尸の虫」の、「尸」が共通しているからという説も、あるのですが・・・。

窪徳忠氏は、中国医学と道教の結びつきがあるのだろう、と述べています。
「救急仙方」という文章中に、こんな記述があるそうです。
「伝染子孫親姻族属」 子孫、親姻族に伝染する
「故曰伝尸癆」 故に伝尸癆(ろう)=伝尸病と言う
「不先焚滅三屍九虫」 先ず三屍九虫(三尸の虫)を滅ぼさなければならない
「服薬無効」 薬を飲んでも効かない
(これも迷道院のテキトー訳です。)

つまり、「伝尸病」を治すには、まず「三尸の虫」を駆除しなければならないということです。

以上のことから、氏は「庚申信仰」「青面金剛」の結びつきについて、このように述べています。
大青面金剛呪法を知る僧侶が、これらの符や救急仙方もしくは玉枢経などの説をあわせて知れば、伝尸病を媒介として、青面金剛と三尸とを結びつけ、結局庚申の日に徹夜しつつ、すなわち守庚申を行いつつ、三尸の駆除を青面金剛に祈請する庚申待的祭祀が案出され、必然的に青面金剛が庚申日の礼拝対象にされることになると思われる・・・」

写真を撮った帰り道、畑仕事をされてる方に声を掛けたら、「ウチの墓で写真撮ってたみたいだけど、何が撮れたね?」と言われてびっくりしました。
誰も見てないと思ったら、見てたんですねぇ。
しかも、「青面金剛像」が建っている土地の持ち主だったとは。

近々、道路が拡幅されるので「青面金剛像」などは、どこかへ移設しなければならないのだそうです。

こうやって、史跡がだんだん元の場所から離れていくのでしょう。
廃棄されてしまわないことを、心より祈っております。


【綿貫町青面金剛像】






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