2009年01月31日

「観音さま」入魂秘話

「観音さま」は、「慈眼院」の前仏となっているので、慈眼院が先にあったのではないかと思われるかも知れない。

実は、「観音さま」が先に建立され、慈眼院は後に大変な紆余曲折を経て、和歌山の高野山から移ってくるのである。

「慈眼院」の山号は、「高野山別格本山」となっている。

昭和11年10月20日、「白衣大観音」の開眼法要が行われた際、真言宗総本山の高岡隆心大僧正から、
「観音さまという立派な尊像ができたのに、肝心なお寺が無い。
これでは、観音さまが単なる見世物になってしまうかもしれない。」

と進言されたという。

もともと井上保三郎氏は、大観音完成後に外苑と大公園をつくる計画を持っており、15,000坪の土地を買収している。
ここに、数千株の桜、桃、楓、つつじ、蘇鉄を植え、一大伽藍を建立する構想を持っており、プロデューサー(人形師?)の黒川明玉氏に三重の塔建設の計画と見積りを依頼していたという。
残念ながら、「観音さま」建立の2年後、保三郎氏が急逝したため、工事半ばにして中断してしまった。
その場所は、後に「高崎フェアリーランド」「カッパピア」となった。

高岡大僧正の進言を受けた保三郎氏は、「観音さま」に歴史と重みを持たせる上からも、由緒ある寺を移転したいと考え、高野山の橋爪良全師に懇請した。
しかし、当時、寺院の県外移転は法律で制限されており、困難を極めたようだ。

やっと、高野山麓にある名刹「勝利寺」の移転がほぼ決定し、移転計画まで立てられたにも拘らず、和歌山県の許可を得られず頓挫した。

それでも諦めずに、高野山上の「自性院」、さらには「赤松院」と交渉をつづけるものの、条件不調のため実現には至らなかった。
その間、保三郎氏は、当初の計画通り買収地の造成を進め、「観音さま」高崎市への寄付手続きを申請している。
だがその直後、病魔に冒され、ついに堂塔建立を見ぬまま、保三郎氏は永眠した。

その後も橋爪良全師らの尽力が続き、高野山から「慈眼院」を移転することが正式に決まったのは、昭和14年、保三郎氏没後1年が経っていた。
「慈眼院」が高野山別格本山として完全移転し、「観音さま」に魂が入ったのは、さらに2年後の昭和16年であった。

   保三郎氏の哲学、先見性、
       高崎市発展への情熱に、
            改めて敬意を表したい。


(参考図書:横田忠一郎氏著「高崎白衣大観音のしおり」 発行:あさを社)


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Posted by 迷道院高崎 at 07:22
Comments(4)観音山
この記事へのコメント
確か、中大類町にある万惣寺は橋爪さんが兼務していたと思います。
慈眼院と比べて随分と貧しいようなお寺だったような・・・。
それだけ慈眼院にお金がかかるのでしょうか?
Posted by 弥乃助弥乃助  at 2009年01月31日 19:55
>弥乃助さん

あ、そうなんですか。
確かに、お寺さんによって経済的な違いはあるのでしょうね。

なかには、嫌がらせに塩を撒いたりするお坊さんもいますしねー。
お寺さんもいろいろです。
Posted by 迷道院高崎迷道院高崎  at 2009年02月01日 14:16
>実は、「観音さま」が先に建立され、慈眼院は後に大変な紆余曲折を経て、和歌山の高野山から移ってくるのである

へェ~!
初めて知りました。

私はず~~っと、慈眼院が先にあって、そこの観音様を建立したのだとばかり思っていました。

実は、今の住職は高校の同期で(彼は文系だったので一度も「同級」になったことはありませんでしたが・・・)、何年か前に高校の同窓会の幹事が75期だった時の幹事長だったらしく、彼の名前で案内(チケットを買えと)来ていましたね。

ホント、迷道院さんのブログは勉強になります。
Posted by キレイズキ  at 2010年07月10日 19:48
>キレイズキさん

いやいや、みんな耳学問・聞きかじり・受け売りばかりで、恥ずかしい限りです。
ま、先人の言葉を伝えるのが役割と思って続けてます。

キレイズキさんと慈眼院のご住職が同窓生とは、これまたご縁の不思議を感じてしまいます。
やっぱり、観音様のお導きでしょうか。
ついこの間も、とても素敵なご縁を頂いたばかりなのですよ。

これからも、よろしくお付き合いの程、お願いいたします(^^)
Posted by 迷道院高崎迷道院高崎  at 2010年07月10日 20:21
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