2012年04月01日

続・鎌倉街道探訪記(17)

「笛吹塚」のある辺りを「藤花地区」といいますが、字名は「花見」といいます。
素敵な字名ですが、これも、源義家伝説からきているのだそうです。

なんでも、源義家奥州へ向かう途中、この地域にあった閻魔堂の桜があまりにもきれいだったので、ここで花見をしたという伝説があるのです。
以来、この閻魔堂「花見堂」と呼ばれ、字名も「花見堂」と言っていましたが、後に「堂」を外して「花見」となったそうです。

その「閻魔堂」は、今どうなっているのだろうと思ったのですが、「豊岡誌」にはこう書かれています。
藤花公民館が建設されたために花見堂も姿を消し、花見堂の名称も消えた。」

ということは、「藤花公民館」「閻魔堂」跡なんだと思ったのですが、「高崎の散歩道第十集」を見ると、
ここは、もと稲荷社があった所である。
この公民館には明治・大正・昭和の初めまで、福ダルマの型彫り「鉄つぁん」と呼ばれていた葦名鉄十郎盛幸作の白狐が今も宝物として残されている。」
と書かれていて、???だったのですが、とにかく「藤花公民館」へ行ってみました。

続・鎌倉街道探訪記(17)
行ってみると、確かに公民館の周囲は玉垣で囲まれ、石段の右下には水盤もあります。

続・鎌倉街道探訪記(17)
境内(?)には、二十二夜塔や六十六部供養塔、石仏なども並んでいて、今にも咲きそうに色づく蕾を付けた桜の古木もありました。

う~ん、稲荷社のようでもあり、閻魔堂のようでもあり・・・・、これは聞いてみるしかない、と、公民館長のご自宅を訪ねてみました。
突然の訪問にもかかわらず応対をして頂き、やはりここは閻魔堂ではなく稲荷社だったことを教えて頂きました。
葦名鉄十郎盛幸作の白狐も確かにあるそうですが、この日は公民館が使用中でしたので、後日改めてお伺いして見せて頂くことになりました。

続・鎌倉街道探訪記(17)
再訪したその日、館長さんに鍵を開けて頂いて中に入ると、正面に観音開きの扉がありまして。

続・鎌倉街道探訪記(17)
その扉を開けると、立派な鳥居とお宮が姿を現しました。

続・鎌倉街道探訪記(17)檜皮葺(ひわだぶき)の凝った造りのお宮の前に・・・

続・鎌倉街道探訪記(17)




葦名鉄十郎盛幸作という白狐が一対、どっしりとした感じで鎮座しておりました。

ここにあった「稲荷社」は、もとは上豊岡の茶屋本陣で知られる飯野家の屋敷稲荷(正一位飯野善衛門稲荷大明神)だったのだそうです。
「大飯野」とも呼ばれるほどの大地主だった飯野家は、終戦後30数町歩の農地解放を行いましたが、その時、住民から「責任を持って稲荷大明神を守護すること。年毎の祭典は住民によって未来永劫執り行うこと。」を条件にお稲荷様の払い下げを懇願され、それならばと快諾して寄付をしたということです。

その後、豊岡村高崎市に合併してから地域公民館が必要になり、飯野家と話し合い了解を得た上で社殿を取り壊し、昭和四十六年(1971)その跡地に建てられたのが「藤花公民館」という訳です。
公民館の中に、立派なお稲荷さんが祀られているのは、そういう経緯があったんですね。
住民は飯野家との約束通り、今でも毎年二月には小塙烏子(すないご)稲荷神社の宮司を招いて、初午の祭典を執り行っています。

で、「閻魔堂」はどうしたんだ、というお話はまた次回に。


【藤花公民館】





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Posted by 迷道院高崎 at 09:11
Comments(2)…続・鎌倉街道
この記事へのコメント
花見堂とか藤花公民館とか、花の季節が始まった今にふさわしい名ですね。
公民館に立派な鳥居とお宮があるなんて、その経緯も含めて、面白いですねー^^。
Posted by 風子風子  at 2012年04月02日 21:52
>風子さん

ねー、面白いでしょう?
「藤花」は、近くの「藤塚」と「花見」が一つになったようですね。

稲荷社の天井板には立派な天井画が描かれていて、それは取り外して保管されているそうです。
初午祭の時には、見ることができるのかもしれませんね。
Posted by 迷道院高崎迷道院高崎  at 2012年04月03日 08:00
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