2011年10月11日

忘れられた高崎の大震災(3)

忘れられた高崎の大震災(3)「西埼玉地震」の震源地は埼玉県仙元山(寄居町)付近といわれていますが、ここには「関東平野北西縁断層帯」という、埼玉から群馬にかけた大きな断層帯があります。

高崎に大きな被害が出たのも、この断層帯をみると分かるような気がします。

気になるのは、この断層帯のこれからの動きです。

文部科学省研究開発局・地震防災研究課・地震調査研究推進本部の資料によると、「関東平野北西縁断層帯」の将来の地震発生確率は次のようになっています。
(算定基準日:2011年1月1日、2011年5月19日現在)

【主部】(榛名、安中、高崎、藤岡を経て埼玉県伊奈町に至る断層帯)
最新活動時期約6200年前以後、約2500年前以前
活動間隔13,000年~30,000年
30年以内の
   発生確率
0~0.008%

【平井-櫛挽断層帯】(吉井、藤岡を経て埼玉県寄居町に至る断層帯)
最新活動時期不明
(迷道院註・西埼玉地震の震源域と推定されているので、それが正しければ80年前となる。)
活動間隔不明
30年以内の
   発生確率
不明

因みに、2011年3月11日に起きた「東北地方太平洋沖地震」の震源域各地の発生確率は、次のようになっていました。
(2011年1月1日現在)
三陸沖北部90%程度
宮城県沖99%
三陸沖南部海溝寄り80 - 90%
福島県沖7%程度以下
茨城県沖90%程度以上

ということで、「関東平野北西縁断層帯」「0~0.008%」という発生確率は、かなり低いことになります。
ところが、これが油断ならないのです。

忘れられた高崎の大震災(3)1995年1月17日に発生した「阪神淡路大震災」(兵庫県南部地震)の震源となった「野島断層」の発生確率は、「0.02~8%」だったんですから。

どうやら、断層型の地震はプレート型よりも活動周期が一桁も二桁も長いので、発生確率が低く出る傾向があるらしいのです。

やはり、「関東平野北西縁断層帯」は、いつ動くか分からないと思っていた方がいいのでしょう。

では、もし「関東平野北西縁断層帯」が震源となる地震が発生したら、高崎はどうなるのでしょう。
こうなるようです。↓
忘れられた高崎の大震災(3)忘れられた高崎の大震災(3)

いったん起きたら、「西埼玉地震」の時と同じ、震度6以上の揺れに見舞われるということです。
結局、「地震に強い群馬県」などと油断せずに、地震への備えは常日頃行っておく必要がありそうです。

ただ、地震への備えというと、ついつい家にいることを前提に、「家具の転倒防止」、「非常持出袋」、「食料の備蓄」、「防災グッズ」などと考えてしまいがちですが、そもそも、家にいる時に地震に遭う確率ってどのくらいなんでしょう。
むしろ、家にいない時に遭う確率の方が高いのではないでしょうか。

とすれば、街を歩いている時、映画館にいる時、車に乗っている時、外食している時・・・どこにいる時でも、「今、大地震が来たらこうしよう。」と考えながら行動する習慣を身に付けておくことが、大切なんだと思います。

しかし、そのような観点から作られた一般市民向けのガイドブック、というのはあまりありません。
これは、高崎市発行「防災情報ガイドマップ」の一部ですが、やはり自宅で地震に遭ったことを想定しており、あまり実戦的とは思えません。
忘れられた高崎の大震災(3)

東京消防庁でも、「地震 その時10のポイント」というガイドブックを作成していますが、やはり、内容は似たか寄ったかです。

そんな時、ネットで探し当てたのが東京都墨田区の防災パンフレット
「地震に備えて」です。

地震の基礎知識、日頃の備え、地震発生時の行動(家にいる時、外出中の時)、応急手当ての方法などが、全36頁に亘って実に分かり易く書かれています。

その一部をご覧ください。↓
忘れられた高崎の大震災(3)
全文ダウンロードは、こちらからどうぞ。

パンフレットというよりも、まさにガイドブック、手引書、マニュアルと呼ぶに相応しい、素晴らしい内容です。
いつかは必ず来る大地震の、被害を最小限にとどめるために、活用させて頂きましょう。

そなえよつねに!





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Posted by 迷道院高崎 at 07:48
Comments(6)◆高崎雑感
この記事へのコメント
高崎を襲った
地震についての詳しい情報を
ありがとうございます。

天災は忘れた頃にやって来る
と言いますが
よく調べて
忘れないようにすれば
遠のくのでは
ないでしょうか?

最近浅間山が静かです。
煙を吐いて
ストレスを解消していれば
大きな噴火は無いとも
いわれますが・・・

迷道院さん
浅間山の噴火についての
情報も
お願いします。
Posted by いちじん  at 2011年10月12日 04:56
>いちじんさん

私も手島先生のおかげで、いろいろ勉強になりました。

地震は火災が怖いですね。
関東大震災では、死者の約9割が焼死だったそうです。
耐火建築の家が増えたとはいえ、地震火災に対する教育はもっと力を入れた方がよいと思います。

浅間山も、地震の揺れで目が覚めちゃわないかと心配ですよね。
でも、「心配」よりも「心備え」ですかね。
これを機会に、もっと勉強してみます。
Posted by 迷道院高崎迷道院高崎  at 2011年10月12日 08:52
知れば知るほど怖くなりますが、
発生確率を100%信用していては危険かも…
ということですね。
有難いことに群馬は津波の心配はありませんが、
“地震がない”という幻想は崩れ去りました。

小さなことですが、家を留守にする時は、
壊れやすい物はなるべく床に下ろしています。
常に地震を想定し、常に備えましょう!
Posted by 風子  at 2011年10月13日 13:28
>風子さん

安心の群馬というイメージを崩してしまってごめんなさい(^^ゞ

でもでも、古代からこの地に沢山の人が暮らしていたということは、それなりに暮らしやすい土地柄だったんだと思います。
先日の「秘密のケンミンSHOW」でも、「西の奈良、東の群馬」って言ってましたからね。

常に備えて、どうぞ「ご安全に!」
Posted by 迷道院高崎迷道院高崎  at 2011年10月13日 19:43
大部分の高崎市民は、高崎は安全で住みやすい地域だと思い込んでいます。

それは一面事実で、大変結構なことではあります。

昔、大震災が起こったということを知っている市民はほどんどいなくなってしまいました。

私も、歴史的事柄として昭和初期に地震があったのは知っておりましたが、掲載された当時の新聞記事と被害の写真を拝見して、埼玉から群馬にかけて起こった地震の凄さ、高崎の被害の状況を再認識いたしました。

災害、特に地震は、繰り返し起こるのが歴史的、科学的常識ですから、高崎地方にもいつかは必ず地震が襲ってくる、その時被害を少なくする為にも、地震の知識を持ち、備えを充実させておかなくてはなりません。

こうしたブログで、高崎も過って大震災
に襲われたことをできるだけ多くの市民の皆様にお知らせし、備えや対策を考えていただくのも大いに意義深いことだと思います。

新聞記事で、「連雀町そば屋松本正三郎方家屋全壊、」とありますが、写真の(上)
高崎市役所前の破壊せる土蔵 がそのそば屋で、私の家の二軒先でした。私の家は幸いにも、人、建物の被害はあまりなかったようです。
Posted by 雀の子  at 2011年10月13日 22:51
>雀の子さん

先日お伺いした時、そのそば屋さんがあった場所を教えて頂き、ありがとうございました。

高崎市役所が、スカイビルの所にあった時代なんですね。
雀の子さんのお宅の被害は少なかったとのこと、幸いでした。

現代では、当時とまた違った備えが必要になるかもしれませんが、人の往来が多い連雀町ですから、日ごろの訓練も大切ですね。
Posted by 迷道院高崎迷道院高崎  at 2011年10月14日 07:51
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