2010年09月01日

高崎の誇る注染工場

「注染」(ちゅうせん・そそぎぞめ)というのは染物の手法のひとつで、手ぬぐいや浴衣地を染めるのに用いられるのだそうです。

生地の上に顔料を塗布する「捺染」(なっせん)と違い、生地の目を潰さずに染め上げるので、肌触りがよく吸水性に優れているのが特徴だとか。

型紙を使って一枚づつ糊を置き、生地を重ねた上から染料を注いで染める「注染」は、職人の腕に頼る伝統技法です。
今、「注染」によって染めているところは、群馬県ではただ1軒だけなんだそうです。
その誇るべき、ただ1軒というのが、実は、この高崎にあるんです。
高崎の誇る注染工場

常磐町(ときわちょう)にある、明治三十年(1897)創業の「中村染工場」さんです。

赤坂下の横丁を入った奥にあるので、私も今まで知りませんでした。

その存在と価値を知ったのは、本町金澤屋さんで「高崎で注染をしているのは、ここだけなんですよ。」とお聞きしたからです。

いや、もうひとつありました。

高崎の物産やイベントを紹介してくれているブログ「物産日記」の、
「高崎歴代藩主の家紋入り手ぬぐいが、中村染工場で発売された。」という記事を読んだからでもあります。

高崎の誇る注染工場お店の外から見るだけでも、お洒落な手ぬぐいを楽しむことができます。
高崎の誇る注染工場

高崎の誇る注染工場工場の玄関先なので、小じんまりした売り場ですが、思わず欲しくなるデザインの手ぬぐいが並んでいます。
高崎の誇る注染工場


←私が一番感動したのは、これです。

手ぬぐいそのものは、白地に黒で猫がデザインされているのですが、意図せず、後ろの絞り柄が透けて見えて、実にいい味を出しています。

「注染」は、染めた部分の裏・表が同じ濃さで、しかも光を通すから、こんな味が出るんですね。

高崎の誇る注染工場試しに、「歴代高崎藩主の家紋手ぬぐい」を、我が家の玄関に下げてみました。

こちら側が手ぬぐいの裏面なんですが、こんなにはっきり模様が出るんですね。


高崎の誇る注染工場
因みに、高崎藩歴代藩主家紋の説明書きも頂きましたので、ご紹介します。

中村染工場さんでは、マイ・オリジナル手ぬぐいの注文もできるそうです。

デザインや枚数によって料金は変わりますが、おおよそ、型代が2万円位、50枚くらい染めて、染め代が1枚300円位とのことでした。
最近では、結婚式とか記念日とかでの注文も多いそうです。
みなさんも、そんな時には記念品として、いかがですか?

高崎の誇る注染工場県内で唯一の注染工場、「中村染工場」

ぜひ一度、お出かけになってみてください。

そうそう、9月22日(水)~28日(火)には、高崎スズランで開催される「大群馬展」にも出品されますので、そちらでもどうぞ。

どうしても出かけられないという人には、インターネット・ショップもありますよ。

「中村染工場」付近の見どころ》
   ◇日本一しょうゆの「岡醤油醸造」
   ◇和風図書館「山田文庫」
   ◇清水先生の「お城のような家」
   ◇一路居士の石碑とお墓がある「恵徳寺」


【中村染工場】






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Posted by 迷道院高崎 at 18:43
Comments(10)高崎町なか
この記事へのコメント
「注染」うーん、門外漢の私にも不思議な味わいが伝わります。まさに路地裏の伝統工芸ですねー。この貴重な工芸の中村染工場様、後継者はいらっしゃるのですか?ぜひとも後世に残したい技術ですね。
ちなみに一緒にしては大変失礼ですが、我が家の稼業、倅が継ぐのやら継がないのやら...。
Posted by 柏木沢の農家おじさん  at 2010年09月02日 05:10
>柏木沢の農家おじさん様

私も、俄かに染物に興味を持つようになりまして、大和屋へ手ぬぐいを見に行ったんですが、中村さんのがなくて、がっかりしました。

後継者問題というのは、どの世界でも難しい問題になってますね。
私も後を継がなかった者の一人ですから、偉そうなことは言えません。

中村染工場さんの場合、後継者の方が、インターネットも駆使して、県外からの注文もあって、なかなか頑張っておられます。

みんなで応援しましょう!
Posted by 迷道院高崎迷道院高崎  at 2010年09月02日 08:03
最近、ゆかたや日本手ぬぐいの良さが見直されつつあることは、和風大好き人間には嬉しい限りです。
てぬぐいや風呂敷の染色は、印刷物と違って、その都度、色合いや輪郭に滲みや揺らぎの表情が出るのだそうですが、それも魅力のひとつですね。
先日の高崎扇の記事も興味深く読ませて頂きましたが・・・
うーむ、高崎にこんなに素敵なお店や見所があるとは・・・奥深いですねー。
Posted by 風子風子  at 2010年09月02日 09:50
こんにちは。

昨年9月の、九蔵町の一里塚の貴記事を思い起こしました。
だるま紺屋敷こと、橋本染工場さんと共に、染職業が高崎の地場産業の一つであったのだと思います。当時より、高崎の水質が良い(清流が確保された)証ですね。
Posted by ふれあい街歩き  at 2010年09月02日 12:58
>風子さん

手ぬぐいというのは、いろんな使い方ができる優れモノですよね。

私の母は、手ぬぐいを使って孫の着物を作ってました。
裂いて、下駄の鼻緒をすげたり、急場の紐まで作れるんですから。

安中も高崎も、探せばまだまだあるんですね。
Posted by 迷道院高崎迷道院高崎  at 2010年09月02日 18:58
>ふれあい街歩きさん

あー、ずいぶん前の記事を思い出して頂いて、嬉しいですねー。

長野堰や遠構の水を使って、染色業が盛んだったようですね。
中村染工場さんの所は、遠構の長松寺裏の水路が近かったこともあるのでしょう。

文化は水のある所で発展するんですね。
Posted by 迷道院高崎迷道院高崎  at 2010年09月02日 19:07
手拭いですか。
最近は殆ど見かけませんね。

ここ何年か稽古もしていませんが、剣道をする時に使うくらいでした(防具と一緒に仕舞われていますね)。

お醤油屋さんとこの染物屋さん、今度赤坂の「七冨久(鉢の木)」さんに和菓子を買いに行く時にでも、ちょっと坂を下って見に行ってみようかと思います。

日曜もやっていらっしゃるのでしょうか?
Posted by キレイズキ  at 2010年09月03日 13:12
>キレイズキさん

剣道をなさってたんですか。
私も、高校の時の正課に剣道があって、ちょこっとやったことがあります。
今でも、手ぬぐい被れますよ。
ただ、面の臭いのには閉口しましたが。

中村染工場さんは、日曜は休みだと思います。
平日に、高崎へ来る用事ができるといいですね。
Posted by 迷道院高崎迷道院高崎  at 2010年09月03日 21:13
2010年12月15日付の広報高崎に「伝統の技を知る高崎の染物」の特集記事が掲載され、貴ブログの記事を思い出しました。

高崎の地方文化として後世に遺したいですね。
Posted by ふれあい街歩き  at 2010年12月16日 17:20
>ふれあい街歩きさん

私のブログを思い出して頂いたなんて、何と光栄なことでしょう。
ありがとうございます!
とても嬉しいです!

我が家は僻地(?)のせいか、まだ広報が届いていなかったので、今、ネットで見ました(^_^)

いい特集になってましたね。
中村染工場さんも大きく取り上げられてましたし、高階勇輔先生のインタビュー記事も載ってて、高崎の歴史・文化を見直すよい機会になったと思います。

郷土の歴史が、どんどん市民の間に広がっていくと嬉しいですね。
Posted by 迷道院高崎迷道院高崎  at 2010年12月16日 21:10
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