2010年06月25日

一枚のプレート

一枚のプレート左の写真は、宿大類から中居団地に入る手前で、正面に見えるのが進雄神社の森です。

この道路沿いの民家のブロック塀なんですが、何かお気づきになるでしょうか。↓
一枚のプレート
もう少し、近づいてみましょうか。

一枚のプレート



1枚のブロックだけが、他のと違うんですが・・・。


よく見ると、こんな金属プレートが嵌め込まれているのです。
一枚のプレート

古墳が解体されたのは、つい最近なので、どんな古墳だったのか気になります。

プレートに刻まれている新後閑さんのお宅を訪ね、写真などが残っていないかお聞きしましたが、残念ながらお持ちではありませんでした。

諦めきれずに、歴史民俗資料館に電話してみたのですが、折悪しく古墳のことに詳しい職員さんがお休みでした。
こうなると意地でも知りたくなってしまうもので、今度は、市の文化財保護課に電話をしてみました。
「南大類にある、諏訪山古墳の調査報告書があれば、見せて頂きたいのですが。」とお話ししたところ、すぐにはどの古墳のことか分からないようでした。

しかし驚いたことに、これからそのプレートを確認しに行って、分かったら電話をして頂けるというのです。
そして、その日の内にお電話を頂き、調査報告書も写真も残っていて、閲覧・コピーも可能というご返事でした。
あまりに迅速な対応に驚きながら、日を改めてお伺いすることに致しました。

後日、市庁舎15階の文化財保護課に出向いて要件を伝えると、すぐに埋蔵文化財担当の田口係長が応対して下さいました。

一枚のプレート見せて頂いたのが、発掘現場を北側上空から撮影した写真です。

これを見ると、予定道路の真ん中に墳丘部があり、解体せざるを得なかったことがよく分かります。

また、周濠の跡もはっきり分かり、古墳全体の大きさや形も何となく想像がつきます。

今まで、何の変哲も感じなかった畑や田んぼのへりが、俄かに古墳の一部として蘇ってきます。
一枚のプレート

この「諏訪山古墳」、昭和十三年(1938)発行の「上毛古墳総覧」では、「第13号 諏訪山」となっていることも分かりました。
形状円形、大きさ100尺(約30m)、高さ15尺(約4.5m)とあります。

一個人が残してくれた一枚のプレートのおかげで、ここまで追跡することができました。
古墳に限らず、歴史遺産、特に個人所有のものを保存することの難しさは、察するに余りあります。
この一枚のプレートは、例え解体せざるを得なくなったとしても、後世にその存在を追跡する手掛かりを残すという、よいヒントを与えてくれているのではないでしょうか。

【諏訪山古墳跡のプレート】





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Posted by 迷道院高崎 at 19:48
Comments(14)◆高崎探訪
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  迷道院高崎さんのブログで「諏訪山古墳跡」の話題があり そういえば・・・と思い出したのが、桜の頃 撮った古墳の写真でした。  新島譲旧宅の裏手が 小さな墳丘で、 市指定...
小さな古墳・・・ ♪【群馬・ふぉと雑記帳 】at2010年06月26日 19:13
この記事へのコメント
しかし・・・よく、このプレートを見つけられましたねー!
個人で碑を建ててあるものはよく見ますが、プレートで後世に記録を遺そうというアイデアに感心しました。

居住地区の歴史を覗いてみると、随分古墳が多かったことに驚きますが、開発でかなり消滅しているのでしょう・・・
時々、中にお稲荷さんが祀られているような小さな古墳跡を見ることができます。最近、それが古墳だったことを知り、ひとつ謎が解けてうれしくなりました^^。
Posted by 風子風子  at 2010年06月26日 06:06
>風子さん

足で歩くというのは、よそ見をする余裕が出来ていいですね。

田口係長のお話では、地面を掘削して初めて古墳だったと分かるものが、相当数あるそうです。
昔から、生活をするために古墳を崩してしまうことは、結構あったのですね。
その点、諏訪山古墳のプレートは、とても素敵なアイデアだったと思います。
Posted by 迷道院高崎迷道院高崎  at 2010年06月26日 07:34
ベテラン老刑事のような追跡調査 
いいですね。 
足で稼ぐことが大切なんですね。 

高碕市中に、プレートと標識を 

勉強になりました。
Posted by 捨蚕捨蚕  at 2010年06月26日 08:24
>捨蚕さん

老と言われれば、老ですが・・・(^^ゞ
自慢だった脚も、大分衰えてきました。

捨蚕さんが追跡している、踏切や水路はちゃんとプレートが残っていて、歴史が辿れますね。

小さな史跡にも、せめてプレートくらい残して感謝したいところです。
Posted by 迷道院高崎迷道院高崎  at 2010年06月26日 08:34
ふーむ、迷道院様、古墳好きの私としまして、記事中の建設中の道路が円墳をヒットしている写真がなんとも心が痛みます。消滅墳はかなりありますがこの諏訪山古墳などは道路造成前に綿密な発掘調査が入り、かなり恵まれた例でしょう。中には小規模な円墳など知らぬ間に開発業者が機械をいれ消滅してしまったという例は枚挙にいとまがありません。
「上毛古墳総攬」のコピーを県立図書館で手に入れそれを元に近所を回ってみましたが、それわもう惨憺たる現状です。
「総攬」の旧漢字の住所地番の場所にたどり着くとすでに墳丘は存在せず石室材と思わせる大石が数個転がっていたりとか。
もう少し皆様が文化遺産、遺跡に関心を持ってきれたら良いのにと思います。
Posted by 柏木沢の農家おじさん  at 2010年06月26日 18:59
>柏木沢の農家おじさん様

古墳好きの柏木沢さんにとっては、本当に心痛むこととお察し申し上げます。

「上毛古墳総覧」作成の時点でも、相当の古墳は消滅していたようで、掲載されていない古墳が、他の遺跡発掘で偶然発見されることが多いそうです。

古墳は、信仰の対象として残されたものも多いですから、今流行りのパワースポットとして認知してもらえるといいですね。
Posted by 迷道院高崎迷道院高崎  at 2010年06月27日 00:20
TBのご報告が遅れてすみません。反映されるのに3時間以上かかりますね。めずらしく真面目にお仕事をしているうちに、すっかり忘れてしまいました^^。
Posted by 風子  at 2010年06月27日 04:43
>風子さん

いえいえ、風子さんは拙ブログのTB・リンク永年免許保持者ですから、どうぞ、どうぞ(^_^)
むしろ、お礼を言いたいくらいです。

TBの反映って、そんなにかかるんですか。
承認なしで「受け付ける」にしてあるんですけどね(・・?
Posted by 迷道院高崎迷道院高崎  at 2010年06月27日 08:10
昨夜はお疲れ様でした・・・・

今朝3時の帰還(笑)。

で、12時からさっきまでピアノプラザで教室。

未だ酒が残ってます・・・・

そろそろ免疫補充の時間かな(笑)。
Posted by 昭和24歳昭和24歳  at 2010年06月27日 17:03
>昭和24歳さん

いやー、最後までお付き合いせず、正解だったようですね(^^)
私は、ハザードランプの点滅がもう少しで停止しそうでした。

それにしても、最近の年寄はみな気持ちは若いですね。外見はともかく・・・。

ゆっくり免疫補充して下さい。
Posted by 迷道院高崎迷道院高崎  at 2010年06月27日 19:10
新後閑さんは、大類歴史研究会代表として
地域の歴史を中心になって研究されました。
五万石騒動に関する研究もされ、
「上州路」307号(1999.12)に
「高崎五万石騒動~130周年を迎えて」を
発表されています。
40ページには、小園江丹宮の墓前で
丹宮の曾孫の方とご一緒に写した
写真があります。
体格の良い立派な方です。

プレートのことは知りませんでした。
直ぐ近くの焼き饅頭屋さんには
よく行くので、
是非見たいと思います。
Posted by いちじん  at 2010年06月28日 09:21
>いちじんさん

情報、ありがとうございます!
新後閑さんの奥様が、五万石騒動の研究発表の件お話になっていました。
上州路のバックナンバーも後で探してみようと思っていたのですが、おかげさまで探すのが楽になりました。

あの焼き饅頭屋さんによく行かれるのですか。
気にはなっていたのですが、まだ行っていません。
じゃ、私はそちらの方へ行ってみましょう(^^)
Posted by 迷道院高崎迷道院高崎  at 2010年06月28日 22:13
はい、あのお店は
妻の友人がやっています。
昔の駄菓子屋が、いまだに生きています。
貴重なお店です
以前、アメリカから来た
AET(アシスタント イングリッシュ ティーチャー)さんを
お連れしたこともあります。
地元の郷土料理(?)を
是非ご賞味ください。
Posted by いちじん  at 2010年06月29日 08:41
>いちじんさん

そうでしたかー!
そりゃ、行ってみなくっちゃ!
情報、ありがとうございました!
Posted by 迷道院高崎迷道院高崎  at 2010年06月29日 08:55
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