2010年05月26日

東北ぶらり旅 遠野編(1)

東北ぶらり旅 遠野編(1)花巻JCTから釜石道に入り、東和インターで降りて遠野の町に近づいた所に、「千葉家曲り家」という看板がありました。

一見、お城か、はたまた武将のお館か、と見まごうばかりの壮大さですが、豪農の屋敷だそうです。

そうか、お金持ちが金に糸目を付けず・・・と思いきや、さにあらず。

言い伝えでは、千葉家四代目当主・喜右衛門が、天保年間(1830~1844)に、飢饉に苦しむ農民の救済のために、普請したものなのだそうです。
普請には村の子供も老人も、人夫として作業に携わり、そのことによって糧を得ることができたといいます。
小高い丘の中腹に石垣を積み、近くの山から木を伐り出しての普請で、完成まで約10年の歳月が掛かったそうですが、失業対策のために敢えて長期間掛けて、大きな屋敷を造ったのかもしれません。

高崎下大類にも、同じような話が伝わっていますが、ただ単に恵んでもらうのではなく、労働の対価として糧を得ることで、人間としての誇りも保ちながら、感謝の心を持てたのではないでしょうか。

東北ぶらり旅 遠野編(1)東北ぶらり旅 遠野編(1)坂を上って近づくにつれ、その屋敷の大きさに圧倒されます。
敷地は約八百坪、かつては作男15人、馬20頭を有していたといいます。

平成十九年(2007)に国の重要文化財に指定されていますが、驚くのは、現在も十代目の当主がお住まいになっていることです。
家というのは、利用することによって保たれるという証でもあります。
東北ぶらり旅 遠野編(1)
←坂を登り詰めて見下ろすと、こんな景色を望むことが出来ます。

毎日ここから、四季折々の景色を眺めていたら、ちっぽけなことは考えず、大きな心で物事を捉えられるかも知れません。
東北ぶらり旅 遠野編(1)
手前は馬屋(まや)の庇です。→

正面に見えるのが、今も千葉さんが住んでいるという母屋です。

右奥の建物は作業小屋となっていますが、現在は実際に使われた農具や、調度品を展示した資料展示小屋になっています。

東北ぶらり旅 遠野編(1)母屋には入れませんが、馬屋は解放されています。
東北ぶらり旅 遠野編(1)






土間の「三和土」(たたき)には、
200年の歳月が美しい皺を刻んでいました。

東北ぶらり旅 遠野編(1)ふと、何かの気配を感じて、慌ててシャッターを押しました。
な、なんと、座敷わらし?!!!

って、嘘に決まってます。
この千葉家、映画「遠野物語」のロケ地にもなったようで、沢山のスチール写真が展示されていました。
その一枚です。

東北ぶらり旅 遠野編(1)東北ぶらり旅 遠野編(1)馬屋の中は、今にも外から馬が帰って来そうな雰囲気を残しています。

昔使われていたものが、沢山展示されていました。

お見せしたい写真が沢山あるのですが、もう大分長くなってしまいました。
あと少しだけご覧いただきましょう。
東北ぶらり旅 遠野編(1)東北ぶらり旅 遠野編(1)東北ぶらり旅 遠野編(1)

遠野の町に入る前に、いいものを見させて頂きました。
これから先の旅が、楽しみです。

【千葉家 曲り家】





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Posted by 迷道院高崎 at 07:46
Comments(6)◆出・たかさき
この記事へのコメント
いいですねー、遠野物語のふるさと・・・。
土間のたたきが踏み固められている風景・・・親戚に元庄屋だった家があり、子どもの頃よく遊びに行ったので、なんとも郷愁を感じてしまいます。
曲り屋の千葉家、すごい建物ですね。しかも、公共事業として住民の役に立ったなんて!・・・こういったことを現代にも反映させてもらいたいものです。
写真で桜が咲いている様子が、いかにも関東と季節のずれを感じられますね。東北旅行に行った際、遠野に寄れなかったことが今でも心残りです^^。
Posted by 風子風子  at 2010年05月26日 09:48
>風子さん

へー、ご親戚に庄屋さんだったお家が!
土間のたたきってピカピカ光ってて、私もよく手で撫でてました。

千葉家、すごかったですよ。
公共事業は税金の無駄遣いと、ついつい思ってしまいますが、富の再配分という面もある訳ですよね。
ただ、富のある人にさらに配分されてしまっては困ります。

その点、千葉家の事業は困っている人への再配分ですから、大したもんです。

遠野、面白い町ですよ。
ぜひ、もう一度いかがですか?
Posted by 迷道院高崎迷道院高崎  at 2010年05月26日 19:05
迷道院様、豪農のお屋敷、写真を拝見させてもらいました。まさに地方の素封家という感じですね。しかも飢饉で苦しむ人々の救済の目的があったとは。
我が家も30年ほど前に建て替えてしまいましたが、あの土間の縞模様懐かしいです。まさにあの様な模様でしたよ。黒光りする板襖や大黒柱、屋根の上の養蚕の為の煙出し、今思えば何で写真に記録しておかなかったのか悔やまれます。やはり遠野地方はいいですね。続編楽しみにしてます。
あと、明日の郷土資料館の件、残念ながら仕事のため出席出来ません。心苦しいですが、夢寅様にご伝言お願いしたいのですが。
Posted by 柏木沢の農家おじさん  at 2010年05月27日 05:25
>柏木沢の農家おじさん様

そうですよね、素敵な古民家を見るとつい「残しておきたいですよね。」とか言ってしまいますが、実際に住んでおられる方はいろいろな事情があって建替えざるを得ない訳ですから、第三者が無責任に言ってはいけないんですよね。

私も、昔住んでいた町の写真をもっと撮っておけばよかったと、悔やんでます。
あの時には、その価値に気付きませんでした、残念なことに。

夢寅さんへの伝言、承知いたしました。
お仕事、頑張って下さい!
Posted by 迷道院高崎迷道院高崎  at 2010年05月27日 07:34
柏木沢の農家おじさん様

了解しました。お仕事ではもうそちら優先です。機会あれば、一度資料館を覗いて下さい。
またのイベントでお目にかかれるのを楽しみにしています。
隠士、横resで恐縮でした。

それから遠野市、いいですね。
しばらく東北に行っていないな~。
続編、楽しみにしています。

   夢寅 拝
Posted by 夢寅  at 2010年05月27日 21:10
>夢寅さん

総社資料館見学、お世話になります!

遠野、いいですよー!
ただ、遠いのー!
次回は、もう少し時間にゆとりを持っていきたいと思っています。
Posted by 迷道院高崎迷道院高崎  at 2010年05月28日 06:35
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